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最高裁判所第一小法廷 昭和48年(行ツ)104号 判決 1974年5月30日

理由

上告代理人岡部勇二の上告理由について。

不動産登記法一〇五条一項によつて所有権に関する仮登記に基づく本登記に準用される同法一四六条一項にいう「登記上利害ノ関係ヲ有スル第三者」とは、当該仮登記に基づき本登記がされることによつて自己の権利を害されることが登記の形式上明らかな第三者をいい、右第三者の登記は、所有権に関するものに限らず、その他の権利に関する登記や処分制限の登記をも含むものと解すべきである。したがつて、上告人馬橋の本件仮登記に基づく本登記の申請については、原判示の仮差押登記及び賃借権設定登記の各登記名義人が右の第三者に該当するものというべきであるから、その本登記申請書には、これら各登記名義人の承諾書又はこれに対抗しうる裁判の謄本を添付することを必要とするのであり、これを添付せずにされた本登記申請を却下した被上告人登記官の本件処分は正当である。そして、右のように解しても、所論のいうように憲法二九条に違反するものでないことは、当裁判所大法廷判例(昭和四〇年(オ)第一〇七八号同四六年四月二一日判決・民集二五巻三号三二一頁)に徴して明らかである。原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)に所論の違法はなく、論旨は、ひつきよう、独自の見解に立つて原判決を非難するにすぎないものであつて、採用することができない。

(裁判長裁判官 藤林益三 裁判官 大隅健一郎 下田武三 岸盛一 岸上康夫)

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